
6月上旬から目立ち始めたコモンズ現地のナラの食害について、発生の範囲、食害している昆虫の推定、今後への影響など、概要を以下pdfにメモ。
http://hayashi-kokoro.com/380621nara-syokugai-memo.pdf
本文内容を以下にも貼り付け。画像は小屋のテラスのマイマイガ。
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2026年、勇払原野のナラ類の食害の概要
2026/6/21 kusakari
勇払原野の芽吹きは例年、雪解けから約2か月後の5月中~下旬で、自称「新緑のピーク(美しい盛り)」は5月25日とマークしてきた。今年2026年はやや芽吹きが早くピークは5月20日ころで、5月末にはほぼ開葉がそろって初夏のような深い緑に移行するはずだった。
ところが6月に入って間もなく、苫小牧市静川の雑木林センター周辺や遠浅の薪ヤードで、樹冠や林が逆に明るくなって、その一方では、林床で多種かつ大量の毛虫が確認された。苫東では新緑早々食害にあって葉を消失する現象は過去にもみられたため、今回も毛虫による食害ではないかと推定された。ただ今年は広範囲で目立ち、地域で偏在しているように見えたため、ミズナラ・コナラ林保全を掲げる調査の一環で簡単な観察を始めた。以下は6/1~6/20に観察した概要。
《食害されている樹種》
ミズナラとコナラ (カシワは不明)
《食害が認められる範囲》
勇払原野の苫東地区が主たる地域で苫小牧市静川、柏原、沼ノ端、厚真町共和、安平町遠浅
北側:苫小牧市植苗(JR植苗駅周辺に散見)
西側:国道36号、または美々川まで
*国道のさらに西側の植苗、北大研究林と森林公園のある高丘地区、さらに西側の豊川地区に食害はなく(6/5)、さらに西にある錦大沼公園でも同じく無害(6/21)
*ただし、沼ノ端の勇払川寄りの林や、JR沼ノ端北側にある明野東通りのミズナラの街路樹は激害を受けていた
南側:つたもり山林の静川一帯 (6/20)(以南の弁天地区には典型的なミズナラ・コナラ林はない)
東側:穂別と厚真の行政界から厚真方面にかけて散見、社台ファームでも散見される程度
*穂別以東のひだか町、清水町では食害の形跡はゼロ(6/18)
《食害が想定される昆虫名》
食害している実物と食葉現場は確認できなかったが、ミズナラ・コナラの樹木の下、または付近で見られた昆虫は、Google の画像検索では、マイマイガ、カシワマイマイ、サラサリンガ、クワゴマダラヒトリ、キドクガ、モンシロドクガと表示された(参考)
*北大苫小牧研究林の中村林長によると、現在、研究林で被害の報告はないが、大発生が約10年周期とされるマイマイガの発生は前回2015年ころだったことから、マイマイガが食害している可能性はあるとされた(事実、静川でも発見)
*約20年前、静川小屋東隣のカラマツ保安林がかつてない食害があり、野鼠害の発生を誘発して間もなく枯死に至ったが、この年にはマイマイガとヤツバキクイの両方が春夏に発生し食害
《読み取れる食害傾向》
食害のように見受けられるミズナラ・コナラは、街路樹、高規格道路の海岸段丘斜面、遠浅の薪ヤードの林縁部、静川の小屋周りのギャップの風の当たりやすい大径木、などに顕著であることから、風衝地、林縁部が関係している可能性あり。その点では苫東地区そのものが周辺や内陸に比べ比較的風の強いエリアである可能性も高い(≒シラカバが健全に育ちにくい)
また、被害地、無害地の林分を概観すると、苫東地区はミズナラ・コナラの混入率が通常70%程度であるのに対し、被害のない林相は、だいぶ多様な樹種が混生しているように見受けられる。比較的長い間、薪炭林として皆伐され更新して萌芽力の強いミズナラ・コナラ林に移行してきたことが考えられる。これらを背景に苫東では特に枯れたような光景が多々出現していると推測
《今後への影響など》
今年の葉の消失が昆虫による食害であったと仮定すると、過去の食害に比較してかなり大々的だったにせよ、樹木個々に見れば回復可能と推測。一般に50%以上食害を受けても影響なしとする報告あり。また米国のオークに関する報告によるとオーク類は年4回まで芽吹くことができる、とされていた。勇払原野でもよく見られる身近な「土用吹き」なども勘案すると、萌芽再生を基本とするミズナラ・コナラの低林施業が行われる(現在コモンズも一部試行している)当エリアでは、成長は減衰しても枯死に至るような影響はないのではないか、と推測
(未定稿)